桔梗門は江戸城三ノ丸の門の一つでした。江戸時代には外桜田門（現在の桜田門）に対して内桜田門と呼ばれていたようです。
 桔梗門という名前の由来については諸説ありますが、太田氏時代の大手門であったから同氏の家紋にちなんで付けられた、またはその家紋が門の屋根瓦に残っていたから、とも言われています。

 坂下門と桔梗門の間にある濠は蛤濠（はまぐりぼり）と呼ばれています。現在は桔梗門の西側でその流れをせき止める石垣がありますが、江戸時代はこの石垣はなく、濠は二ノ丸と三ノ丸の間を流れ、下乗門の前とおって、天神濠までつながっていたようです。

 江戸時代、江戸城には多くの櫓が存在していたようですが、現存していているものは少ないです。桔梗門のすぐ東側には櫓が残っていて、本などでは門と櫓を一緒に撮影した写真がよく見られます。
 この櫓は三ノ丸の辰巳（東南）の方向にあります。その呼ばれ方は、三ノ丸巽櫓、桜田巽櫓、または本丸・二ノ丸の辰巳にもかつて櫓があったから、それらと区別して桜田二重櫓などと、いろいろあるようです。
 現存しているその櫓は、実は江戸時代につくられたものがそのまま残っているのではないようです。1923（大正12）年の関東大震災によって大破したために、1927（昭和2年）年にコンクリート造りで再建されたものだそうです。
 この櫓の横から北の方を見ると門があってこれが大手門です。ここは旧江戸城の正門で、現在は皇居東御苑の出入り口のひとつになっています。