高尾には東京の梅の名所のひとつがあって、旧甲州街道沿いに約1万本の梅が植えられています。毎年春になると梅まつりが開催され、お店が出てにぎやかです。近年は新型コロナウイルス(COVID-19)が流行した影響で中止になっていますが、流行が収まれば開催されるでしょう。
 私が初めて高尾梅郷を訪れたのは2013年でしたが、この年は混雑するのは嫌だと思い、あえて梅まつり日を避けました。翌2014年にもここを訪れ、今度は梅まつりの日に行ってみました。このページではその時の様子を書きたいと思います。
 2014年は梅まつりの日まで春めいた陽気の日が1日もなく、まつりの当日は若干暖かいくらいで、服装は真冬と同じでした。2月に降った記録的な雪は、都心ではすでに溶けて無くなっていましたが、高尾駅周辺にはまだ雪が残っていて、しかも山へ近づくほど多く残っており、小仏バス停付近などは春ではなく冬のようでした。
 最寄りの高尾駅まで電車に乗って行き、駅からはバス等を使わずに歩きました。旧甲州街道に入ると、道は少しのぼり坂になっていて、このあたりは山の麓だからなのでしょう、道はこの先ものぼったりくだったりを繰り返していました。小仏バス停のあたりまでは歩くと片道100分くらいかかったでしょうか。私は景色をゆっくり見たいので往復歩きましたが、バスやタクシーを利用する手もあります。
 また、自家用車で来ている人もいました、旧甲州街道は道幅が狭く、すれ違う時などはどちらかが路肩に寄せて相手が通過するのを待つような状況で、かえって面倒くさいように思えました。その年の梅まつりのパンフレットにも「駐車場はありませんので、バス等をご利用ください」と書いてありました。

 最初に到着したのは関所梅林です。ここはその名のとおり江戸時代の小仏関所跡で、建物は残っていませんが、記念()が立っていて、その碑の前には当時使われていた手形石、手付石が置いてありました。通行人はこの手形石に手形を並べ、手付石に手をついて許しを待ったそうです。
 関所梅林は1番賑やかなメイン会場といった雰囲気でした。大きな音で音楽が流れ、 やきそば、おでん、わたあめなどのお店が出ていました。また、観梅記念スタンプハイクというものが行われていて、ここはそのスタンプ会場のひとつでした。該当する3つの梅林のスタンプを集めると抽選ができて、当選すると素晴らしい景品がもらえるということでした。今回はやりませんでしたが、素晴らしい景品とは何だったのか、とても気にりました。
 ここの梅はよく咲いていて、メイン会場にふさわしく、ちょうど見ごろだったかもしれません。 時間がお昼に近いこともあってか、人は多かったです。おなかもすいていたたので、ここでやきそばを買って食べて、次の梅林へ向かいました。

  • 小仏関所跡の碑
    小仏関所跡の碑
  • 手形石と手付石
    手形石と手付石
  • 小仏関所跡(関所梅林)に咲く梅の花
    小仏関所跡(関所梅林)に咲く梅の花
  • 旧甲州街道駒木野宿の碑
    旧甲州街道駒木野宿の碑
  • 小仏関所について伝える説明板
    小仏関所について伝える説明板
  • 関所梅郷の梅
    関所梅林の梅

 関所梅林から旧甲州街道を10分ほど歩いたところに幼稚園があり、ここもスタンプ会場のひとつで、いろいろなお店も出ていました。ここから旧甲州街道を離れて横道に入って徒歩約5分、坂道をのぼったところに梅林が見えてきました。ここが荒井梅林です。
 坂の上ですが斜面に植えられているのではなく、のぼりきった所の平面に植えられていて、ここもよく咲いていました。ここからは中央線の線路を見おろすことができるので、梅と電車を一緒に楽しむこともできます。

  • 荒井梅林の梅1
    荒井梅林の梅1
  • 荒井梅林の梅2
    荒井梅林の梅2
  • 荒井梅林の梅3
    荒井梅林の梅3

 荒井梅林からさきほどの幼稚園まで戻ります。次に近いのは天神梅林で、幼稚園の斜め向かいにありました。街道脇を流れる小仏川を渡ると、山の斜面が梅林になっていて、ほんのちょっとの距離ですが、上までのぼると小さな神社がありました。それで天神梅林と呼ばれているのでしょう。
 このあたりはまだ多くの雪が残っていて、梅はまだこれから咲くところでした。

  • 天神梅林の梅
    天神梅林の梅

 天神梅林からさらに街道を歩き続け、蛇滝口バス停をとおり過ぎると左手に梅が見えてきました。 ここが湯の花梅林です。街道に面した梅はよく咲いていましたが、柵があってどこから梅林へ入っていくのかよくわかりませんでした。とりあえずここは街道から歩きながら眺めて先へ進みました。
 ここの少し先にもスタンプ会場ではないですが、お店が出ている場所がありました。梅林はもっと先にもあるのですが、お店はそのあたりで終わりのようでした。

 歩いていると左手にマス釣り場が見えてきて、釣りを楽しんでいる人が何人かいました。日影バス停を過ぎると道はのぼり坂でクネクネと曲がっていました。このあたりまで来ると人の数も減ってきて、梅まつりに来たというより、ハイキングに来たようです。実際に登山の装備をした人達がが、 何人もくだってきていました。この先、小仏バス停よりもっと先まで行けば、小仏峠や景信山などがあります。
 そんな人の少なくなった旧甲州街道をのんびり歩いて、 中央線の下をくぐってぬけると、右手に木下沢梅林へと続く道の入口が見えました。ですがとりあえず最後まで、小仏梅林を先に見てみたいと思って、一旦ここはとばして先に進みました。

 歩いていると向こうからバスが走ってきます。1台過ぎたと思ったらもう1台来ました。なんかバスが多いなと思ったらその先右手に広場が見えて、ここが小仏バス停折返し場でした。ここにはトイレとベンチが設置されていました。梅まつり用の仮設トイレではなく常設されているもので、普通の水洗トイレなのでとても助かります。
 ここで数名の人たちがバスを待っていました。服装、装備から推測すると、みんなハイキングの帰りのようでした。ここまで来ると梅まつりに来たと思われる人はほとんど見当たりません。1人だけ梅まつりのパンフレットを手に持ったおじさんを見かけましたが。 さて小仏梅林とはどこのことなのか、見渡してみても梅らしきものが見当たりません。目につくのは溶け残った雪ばかりです。とりあえず少し歩いてみると、右手に道があってのぼり坂になっています。梅林とは関係無さそうだとは思いましたが、気になったのでのぼってみました。
 坂道をのぼりきると道は右に折れ、中央自動車道の下をくぐれるようになっています。そこをぬけるともう山です。山登りをするつもりはなかったので、その先には行きませんでしたが、これが景信山へ登るための道だったのだと思います。 中央自動車道のほうへ近寄ってみると、安全のためにガードレールが設置されていますが、上から高速道路を眺めることができました。ちょうどトンネルの入口の所で、ここが小仏トンネル入口のようでした。
 旧甲州街道へ戻って。どこかに梅は咲いていないか、歩きながら見てみました。とにかく目につくのは雪で、川を渡る小さな橋は雪でうもれて、その先に神社があるのが見えましたが、まわりは雪だらけです。
 その少し先にあるお寺も見てみましたが、梅らしいものは見当たりません。このまま行くと小仏峠まで行ってしまうので引き返すことにしました。

  • 雪に埋もれる小さな橋
    雪に埋もれる小さな橋

 小仏バス亭のあたりから15分くらい歩くと、一旦とばした木下沢梅林の入口が見えてきました。 梅林までの道はのぼり坂になっていて、すぐ右側を中央線が走っていました。途中までのぼると、いい景色が見えました。中央自動車道の下をくぐると正面には大きな山が見えてきます。そして右手に見えるのが木下沢梅林です。
 ここには1400本もの梅の木があり、トレッキングコースも整備されていて、この年は梅まつり期間の3月15日(土)から30日(日)まで開放されていました。 高尾梅郷の中では、ここが一番見応えがあるかもしれません。このときはまだ満開にはなっていませんでしたが。
 高尾梅郷は広範囲にわたって梅林があるため、1回ですべてを見ようとするのは、足腰が丈夫でなければ難しいのかもしれません。もし1ヵ所だけ選んで見ようとするのであれば、この木下沢梅林はおすすめです。バスを利用すれば大下バス停で下車して徒歩約5分で到着します。

  • 木下沢梅林の入口
    木下沢梅林の入口
  • 木下沢梅林の梅1
    木下沢梅林の梅1
  • 木下沢梅林の梅2
    木下沢梅林の梅2
  • 木下沢梅林の梅3
    木下沢梅林の梅3
  • 木下沢梅林の梅4
    木下沢梅林の梅4

 木下沢梅林をあとにして、来た道を戻ります。20~30分歩くと、往路ではよく見なかった湯の花梅林が見えてきました。街道からでも見えますが、中に入りたい。入口はどこかさがしていると、それらしいものがあったので入ってみました。ここは何かの駐車場のようで、その奥の方に梅が植えられています。これから咲くものもありましたが、街道に面した梅はよく咲いていてとてもきれいでした。
 湯の花梅林もあとにして、来た道を戻ります。ひととおりは見たので高尾駅を目指して歩きました。時間はもう15時を過ぎていましたが、関所梅林の会場ではまだ音楽が流れ、お店も出てはいたが、人の数は少なくまばらになっていました。

  • 湯の花梅林の梅
    湯の花梅林の梅

 実は1番最初に遊歩道梅林というものがありましたが、結局立ち寄りませんでした。今回見に行った場所以外にも梅が咲いている場所はあるようです。高尾梅郷はとても広いので、一回ではまわりきれず、また次回行く楽しみが残ります。