東京で桜の名所といえば上野公園は特に有名だと思いますが、そこから近い谷中霊園の桜も名所のひとつです。五重塔跡の公園がある中央園路(さくら通り)は桜のトンネルのようになり、散った花びらは道に積もってピンク色のじゅうたんのようです。墓地内にもポツポツと桜の木があります。ここは基本的には墓地ですから、まわりはとても静かです。
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谷中霊園「さくら通り」の桜1 -
谷中霊園「さくら通り」の桜2 -
谷中霊園「さくら通り」の桜3 -
谷中霊園「さくら通り」の桜4 -
谷中霊園「さくら通り」の桜5 -
「さくら通り」の桜を下から見上げる -
霊園内の桜 -
日暮里駅前の高層ビルと桜
桜が満開になっても、見るだけで宴会は禁止です。まあ、墓地ですからね。かなり昔の記憶で曖昧ですが、ここで宴会をやっているのを見た事があるような気がします。昔のことなのではっきりとは思い出せませんが、地面に座って飲食をしている人がいたような気がします。墓地ですけど。とにかく今は、宴会は禁止です。
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谷中霊園内に掲示されていた看板
以下は谷中霊園を何度も訪れる中であった、桜とは関係のないちょっとした話です。
ある日徳川幕府の第十五代将軍、徳川慶喜公の墓所が谷中霊園にあることを何かで知り、自宅から近くにあるのなら一度見てみたいと思い、 霊園まで行ったことがあります。行ってみるとこの霊園は意外に広くて、著名な人物の墓も多くあって慶喜公の墓所だけが目立つようなことはなく、どこにそれがあるのかよくわかりませんでした。だけど親切なことに、どこに誰の墓があるのかという案内板が墓地の所々に設置してあり、それを見て慶喜公の墓所があると思われる方向へ歩いて行きました。
それでも墓地内に入ってみると迷路のようになっていて、なかなか目的の場所へたどり着けず、いろいろと余計な所を歩き回っていました。 しばらく歩いていると、目の前の十字路に猫が一匹うずくまっているのが見えました。その猫は目こそ合わせないが、顔を私の方に向けてニャーニャーと鳴いている。この時点で少し不気味に感じたが、猫ぐらい東京ではめずらしくないので、あまり気にせず歩き続け、 その十字路で左に曲がりました。すると私の体の右側を
(タタタタタッ!)
と何かがもの凄い速さで駆け抜け、前を横ぎり、左斜め前方の所にうずくまった。さきほどの猫です。 やはり私の方を向いて、今度は力強くニャーニャーと鳴きはじめました。明らかに私に対して何かを伝えようとしている。ここへは来るな、この先には進むなと言っているようにも思える。単純に猫が自分の縄張りを守ろうとしているだけなのかもしれませんが、場所が墓地の中で、時間は夕方に近く、暗くはなっていないが日が落ちはじめていました。それらが怖さを助長して、自分の目には見えないが、何か霊的なものがそこに居るのではないかと思えてくる。怖くなったのでその先に進むのをやめて、来た道を引き返しました。その日は結局慶喜公の墓所は見られなかったため、後日出直して、今度は何事もなくたどりつけました。